鎌倉美術館ツアー最終回|土地を愛する

6.05.2015

in KAWAGUCHI 朗読者、鎌倉へゆく

t f B! P L

鎌倉美術館ツアーレポートも、最終回。

日本画、映画、近代美術とめぐり、最後は文学へ。
一行は神奈川県立近代美術館・鎌倉別館より、鎌倉文学館へ向かいます。

鶴岡八幡宮

!徒歩で!!!

鎌倉別館は鎌倉街道沿い、建長寺の程近く。鶴岡八幡宮よりもちょっと北にあります。
一方、鎌倉文学館は江ノ電「由比ヶ浜駅」から少し長谷寄り。その距離約3.6km。

鎌倉MAP
http://kamakura-info.secret.jp/pdf/always/kamakura_map.pdf


歩きました。歩き倒しました!
平均年齢約50歳の一行……何故歩く?!?気力も体力も溢れております。これもツアー最後に待っている酒宴の力でしょうか。
THE BANK
旧横浜興信銀行由比ガ浜出張

途中、昭和2年建築の旧横浜興信銀行由比ガ浜出張に遭遇。

その名も『THE BANK』というBarが営業していたそうですが、現在は閉店した模様。残念。こんな建物でお酒を頂いたら、タイムトラベルなんてごく自然と起こりそうです。



鎌倉文学館のトンネル

そしてとうとう鎌倉文学館に到着。
午前中の雨で濡れた石畳の坂道を上がります。青葉鮮やかな紅葉トンネルの先には、本物のトンネル。ここをくぐると、旧前田侯爵家別邸「鎌倉文学館」が。
アールデコ様式をふんだんに用いた古き良き建物に、鎌倉縁の文学者たちの資料が保存されている……。想像だけでもロマンが溢れて大洪水です。
鎌倉文学館
鎌倉文学館(旧前田侯爵家別邸)


常設展は4部構成。中でも第1部の『鎌倉文士たち』の展示に力が入っています。
鎌倉文士といえば、大佛次郎、川端康成、小林秀雄、久米正雄、他他。
昭和9年から約30年間続いた夏のお祭り『鎌倉カーニバル』発案や、第二次大戦末期の貸本屋『鎌倉文庫』運営など。彼らはただ鎌倉に住んでいただけでなく、鎌倉の町・文化の活性発展に力を注ぎました。
しかし川端康成や久米正雄が店番をして、大佛次郎や小林秀雄の蔵書を貸し出す貸し本屋って……。
今でこそただただ贅沢なシチュエーションと思うばかりですが、戦争末期の社会においては、表現と収入を断たれた文士と活字・知識・夢想の供給をを断たれた人々の、それぞれ分かち合いの場であったのではないかと想像します。

鎌倉文学館公式サイト http://www.kamakurabungaku.com/


さて。
朝から、
鏑木清方記念美術館→
 川喜多映画記念館→
    鶴岡八幡宮→
神奈川県立近代美術館・鎌倉館→
           鎌倉別館→鎌倉文学館、

と巡り、気がつけばもう夕方です。そろそろビールが欲しくなる頃合ですが、ここはせっかく鎌倉へやってきたのですからもう一頑張り、お寺を参らねば!

ということで、長谷まで歩き長谷寺にて長谷観音(十一面観音菩薩像)を参拝。

この菩薩像は御身丈10メートルを越え、中世に彫られた木彫仏として日本最大級だそう。薄暗い観音堂の奥に屹立する姿は圧巻でした。

鎌倉 長谷寺公式サイト http://www.hasedera.jp/


海と山に抱かれたまち、鎌倉。
ここには大切にしていきたいものが、きちんと残っていました。
愛でるだけでなく、積極的に護り、はぐくむことが、土地を愛するということなのだと、このツアーで実感しました。

鎌倉で朗読者、実現させよう!!