2016年11月20日日曜日

“さらり”の効力

吉田篤弘さんの「なにごともなく、晴天。」を読み終わりました。  

吉田篤弘「なにごともなく、晴天。」
物語も終盤の184P。
「時間のせいで、どれだけ人間がすり減ってきたかしれない。」
小学校から大学まで、時間割の意味がまったく理解できなかった私には涙が出るような台詞です。
もちろん、時間割のその機能や理屈は十分に解っているのですが、四角い枠の繋がりにしたがって授業を受け行動している自分にも周囲にも、言いようのない気持ちの悪さを感じていました。
まあ、たぶん、天邪鬼なのだとおもいます。

と、ここまで話すと今度は“他人の時間を奪うことについて~”など書いていきたくなりますが、話が重くなりすぎると思うので、このくらいで。

吉田篤弘さんの小説には、
こんな風に、ちょっとしたことから更に深く広く考えを巡らせるきっかけとなる台詞・言葉が、“さらり”と出てきます。それはもう、洗い立ての白いシャツみたいに“さらり”と。
その肌触りと、著書全般に漂うノスタルジックな雰囲気が、えも言われぬ心地のよい読後感を与えてくれます。 

12月10日上演の「針がとぶ」もまた、そんな“さらり”が随所に潜んだ作品です。
公演は表題作「針がとぶ」一篇を上演しますが、本は7つの短編集。
舞台は世界中に散らばり、それぞれが幽かなつながりを持っている。世界の端と端で細い絹糸がつながる感じ。読み終わった後には、きっと淡い世界地図が浮かび上がることと思います。

公演を見る前に、公演を見た後に、お好きなタイミングでぜひ一度吉田篤弘さんの言葉に触れてみてください。


▼吉田篤弘「針がとぶ」中公文庫▼
http://www.chuko.co.jp/bunko/2013/11/205871.html

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【公演詳細はコチラをご覧ください▼】
http://www.art-kouba.com/roudokusha/vol13.html

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